「皆さんの雇用は守られます」。
倒産寸前のこの会社を買収して救ってくれた新社長が社員を集めてスピーチしたときの第一声でした。
「皆さんの雇用は守られます」。
新社長が社員に向けたその一言で、会場の社員のほとんどが明るい表情になり、
自分たちの生活が保障されたと感じたその会場には、安堵の空気が流れました。
硬い表情だったみんなの緊張が解けた一瞬でした。
その言葉に続けて、
「本社で働いている人は、私を含めて新しい取締役になるので、
これまでの本社とは顔ぶれが変わりますから、
これまでの仕事の手順が変わるところもあります。
そうはいっても、会社の社会的な役割はこれまでと変わることはありませんので、
これまで通りよろしくお願いします」。
と話した。
新しい管理本部長から会社の今後の行事や人事と管理に関する手順の説明が行われた。
社長の次に、新しい管理本部長が登壇し、
会社の今後の行事や人事と管理に関する変更点の説明が行われた。
しかしその内容を聞いているうちに、会社の内部が大きく変わることが予想できた。
人事評価制度を中心に適材適所への再配置。
ジョブローテーション。
勤怠管理。
職制の見直し。
勤怠管理も含めて、社内ネットワークを利用した決済をの導入。
経理と財務の充実。
そのような項目を挙げて説明が行われた。
そしてその目的が時間的な無駄をなくすることを主眼に置いた改変のように思えた。
意思決定の効率と決済時間の短縮などのスピードアップによる競争力の向上を、
効果的に実行すると語った。
会社対会社の競争で戦略的に管理部門を機能させてこなかったことへのテコ入れ。
会社対会社の競争で、これまでに戦略的に管理部門を活用したて、
十分に機能的に働かせてこなかったことへのテコ入れだと感じた。
管理部門を機能させることは正しいことだと思う。
きょうまでの会社を振返ると、管理部門があまりうまく機能していなかったことは、
声を上げられなかったけど重大な会社の弱点だと社員は感じていた。
ずっと前から会社の弱点ではないかと感じていたことをあげると、
たとえば、給料が安ければ競合企業に人材が奪われるし、
その一方では、社員教育が手薄だから、得意先へのサービスが低下し、
それが、窓口の知識やサービスレベルの低さとなって競合に負けていた。
そう感じることが多かった。
それから、資金調達に関わる財務系の仕事が経理の範疇でしか機能していない場合には、
お金を調達できないので、新しい事業分野に進めなかったりする。
自分の会社だけが取り残されている感じがして、残念に思ったことがあった。
きょうの新しい管理本部長の説明で、会社が戦闘力のある会社に変わることが
社員のみんなに伝わったので安心した。
そういったことがわかって、会社が競合他社と競争できる土俵に登ることが出来そうだという希望が湧いてきた。
あとは自分たちに任せとけ!。
集まった社員に、そんな勇気と希望を与える説明会だった。
これまで知らなかったけど管理部門には本来そんな力があることをここで知った。